文/一柳哲也&田中敦子(写真も)

とにかく底抜けに明るい劇団だなと
失敗で笑う 冗談で笑う 演技で笑う
本当に笑い、はじける回数が多い

見せてもらったのは立ち稽古
紐で仕切られた室内で、役者さんができてるシーンをやり
脚本兼演出の桑原さんがチェック、だめだしをしていく
それがとても細かい
 人との距離として
 関係として
 キャラとして
 間として、そしてそれによっての動きの変化
本当に細かいチェックがあり、シーンが演出さんの意思によって直されていった
よく聞こえてきた言葉が『普通に もっと普通に!』だった
確かにこの脚本には、あまりキャラを表にだしすぎない演技があってるようだった
引いてある紐をみると、舞台はとても奇妙な奇妙な形をしている
マンションの廊下から個室を見ているような
動きを見ていると窓もついているみたい
少し目をひいたのは桑原さんと他2人による 3人のシーン
桑原さんは役者までやっていた
本番は11月3日 どうなっているのか楽しみでした(田中)
 KAKUTAの稽古場の第一印象は「明るい」ということだった。 私が稽古場に足を踏み入れたときも役者さん達は笑顔で迎え入れてくれた。 アットホームな雰囲気、と言えばいいのかな。 極端にどんよりとした空気だと入るのも躊躇してしまうけど、今回はけしてそんな ことは無かった。 例えば、今回同行してくれたSTスポットの田中さんが差し入れでミカンを持って いった。 それを受け取ったとき、「ありがとうございます」とお礼。 それから、ミカンを食べるとき、必ず「ミカンいただきます」と言ってから食べる。 「ミカン食べてもいいですか?」と訪ねる人も。 それもみんな必ず満面の笑みを浮かべながら聞いてくるのである。 それはさながら新しいおもちゃを買ってもらった子どもの様。 本当にうれしそうなのだ。 それを見ているこっちも何だかうれしくなってくる。 そんな明るさがそこにはたくさん見られた。 だから、結構すんなりとその空間に入り込むことが出来た。

  さて、KAKUTAの稽古場には、次のような大前提があるそうだ。

○「楽しむ前に出来ることをやる」
○「柔軟性のある緊張感を持つ」

  これは演出の桑原さんが言っていたことである。 つまり、ただ明るく楽しくやるだけではなく、そこに存在する者として自分の責任は 自分でしっかりとれよ、という意味なのであろう。 これは考えてみれば当たり前のことだと思うのだが、その当たり前というのがとても 大事なことだと再確認させられるような大前提である。 当たり前というのは気づくと見落としていることもあるし。 稽古場に来るときは、それなりの覚悟を持ってこいということなんだろうと思った。

  さらに話は進み、稽古場で一番気を使うのは「雰囲気」ということを聞く。 「うちの役者は小心者」だから、それを大事にするんだとか。 やっぱり、暗い空気だと役者の気分も下降気味でいいものができないらしいのだ。 しかし、それはどこも一緒のような気がする。

  ちょっと個人的な経験を書かせていただく。 私はテアトルフォンテ演劇クラブというところで演劇について色々と考えさせても らっている。 そこでは基本的に全員で話し合って一つの芝居を作っていく、というお約束みたいな ものがある。 しかも話し合うのは中高生十数人。そう簡単にはまとまるはずもない。 それで空気が重くなってきて、煮詰まってしまう。 その時みんなは何も考えてない訳じゃないのだけど、考えてもいいアイデアは浮かば ない。何故かというと、多分楽しくないからなんだと思う。そこで、色々な方法を使って皆を盛り上げて精神的に解放してあげると、本当に色々浮かんでくるのだ。 その時はみんなかなり楽しいと思っているから、楽しいものがどんどん生まれてくる んだと思う。 つまり、創作現場としての稽古場を考えるなら、やはりどこかに「楽しさ」は必要だ と思うのだ。 やっていて楽しいものじゃないと、お客さんは楽しくない。 楽しい作品にするためには、創作現場の空気も楽しい方がいい、と考えることができる。 そう考えると、KAKUTAの稽古場はかなり理にかなっているのではないだろう か。

  で、そんな稽古場でどんなことをやっているのかというと・・・ 柔軟、発声などから始まり、ゲームなどをする。 ゲームをやるときは、「真剣に、楽しく」。 たとえばバスケットボールなら、ボールをゴールに入れることに集中する。 それを、純粋に楽しみながらやるというのが大事らしい。 他には、視界を広げるために鬼ごっこなどもやるらしい。

それから、「転換シーン」というシーンとシーンの間のシーンの稽古。 ここにはウォーキング(歩行)やダンス、照明などを使ったりと色々なことをやって いる模様。 今回は「歩行」をやるらしい。 それで、どのようにやっていたのかというと・・・
今回、KAKUTAの芝居のセットにドアがいくつかある。 それで最低限のルールが「開いているドアに邪魔にならないように入る」というもの であった。

  さらに、歩いている途中に演出の桑原さんが「4」「2」などと言う。 すると、その拍数で1歩(「4」なら4拍で1歩)のスローモーションになる。 全員がゆっくりとしたペースになる瞬間、次元がゆがむような錯覚をおこして面白 い。 本当に突然言うので、合わせるのはそう簡単じゃないと思うのだが、いとも簡単に やってのけた。

 そこで実験。「逆」と言ったら逆に動く。 これは演出側も「出来るかどうか分からない」と言っていた。 しかし、これも見ていると面白い。 今度は時間が逆流しているような錯覚を起こすのだ。 しかも、それが全員で共有している空間で行われているので、なお面白い。 やっている側も楽しかったに違いない。

  台本に沿っての稽古はいたってシンプル。 見ている人がアドバイスをする、という形が基本。 やっている側も冷静で、時々中断しては直しを入れていく。 しかし、途中でセリフをとちったり小道具の使い方に困ったりしたら中断。 それを怒鳴り散らして怒る訳ではなく、「集中が切れた」とか「あそこテンパッてる よね」などの会話が起こる。 こんな時も笑顔。このあたりに雰囲気を大事にしようとしているのが伺える。 失敗した人も笑ってはいるけど、それを誤魔化すために笑っているわけではないよう に見えた。 自分の失敗は自分が責任を持って直している。 やはり笑っていても緊張感は持っているのだ。 一人一人がある程度の緊張感を持っているから、明るい稽古場になれるのではない か、と考えることも出来る。 というより、むしろそうなのだろう。

 夜も更け、取材もそろそろ切り上げ、ということで皆さんは見送ってくれました。 やっぱり笑顔で。 ・・・とても明るい創作現場だなぁ、と思いました。 (一柳)

11月3日(土) 〜4日(日)

STスポット演劇フェスティバル スパーキング21

KAKUTA 『青春ポーズ』

作&演出=桑原裕子
出演=成清正紀、若狭勝也、松田昌樹、横山真二、 原フキコ、大枝佳織、野澤爽子、佐藤陽子、水野美穂 桑原裕子

開演=(土)7:00PM(日)1:00PM/
4:00PM/7:00PM



KAKUTAのHP http://homepage2.nifty.com/kakutaweb/

今回レポートしてくれた一柳君と田中さんも参加している
テアトルフォンテ演劇クラブのHP
http://www.interq.or.jp/jupiter/pect/tftc.html


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