荒木傑氏インタビュー(聞き手 岡田利規)
−−−荒木さんは脚本家だし、ボクも『爆笑王』の脚本は読ませてもらってるんで、このインタビューでは簡単に、脚本の話を中心に伺いたいんですけど、ていうか他に訊けることもないと思うんで。でも公演前にネタバラシも出来ないけど。

荒木 そうですね。

−−−だから抽象的にいいますけど、あの話に出てくる人って、がんばってないっていうか、努力してないじゃないですか。

荒木 してないですね。

−−−なんか、そういう努力してない人への、温かい眼差し、みたいな感じですよね、あの脚本って。温かいってのは言い過ぎかもしれないけど、冷たくない眼差しじゃないですか。いつもこんな感じなんですか?

荒木 『爆笑王』は、僕の中では異色ですね。もっと生真面目な作品が多いです。

−−−今回のは抜けた感じしますけど、異色ってそういうことですか?いつもはこんなに抜けた感じじゃないとか?

荒木 うん。それとこれはよく言われることでもあるんだけど、僕はいつも演劇っぽくないって言われるんだけど。

−−−あ、でもそう言われるの、わからなくもないですけどね。でも『爆笑王』は結構演劇的だと思いましたけど。

荒木 たぶん、自分が影響を受けているのって、演劇よりも映画とか小説とかだったりするから、そういうのが出ちゃってるんだと思うんだけど、でも今回のは割と演劇っぽく書いたと思うし、そういう意味でも異色かな。

−−−映画とか小説、ですか?

荒木 小説とか、あとルポルタージュを読むのも好きなんですよね。

−−−ルポ、ですか。ルポと言えば、ボク最近、ダイエーの中内さんのことを書いたルポを読んだんですけど。

荒木 あ、『カリスマ』。

−−−あれ、面白かったですね。

荒木 あ、あれはなかなか面白かったほうですね。

−−−あ、「なかなか」ですか(笑)。じゃあすごくおもしろいルポを今度教えてください。それはともかく、今回そういう異色な作品を書いたってのには、それでは何かきっかけとかがあったんでしょうか?

荒木 えっと、今回みたいな話を書こうと思ったのは、今回の登場人物みたいにダメな人のモデルってのが、実在していて、それが面白かったんで書こうと思ったんですけど、そのモデルというのは、端的に言うと宮川くん(革命うさぎさん教室の演出家・俳優である宮川朋久氏のこと)なんですけど(笑)。

−−−あ、そうなんですか(笑)。じゃあ今回はそれを宮川さん自身が演じているということになるわけですか?

荒木 そうですね。今回は、なんか突き放したような書き方してますね。出てくる人物のことをからかってるみたいな書き方してます。

−−−そうなんですか。でも見た人はきっと、登場人物のことをからかうというよりも、わりと自分のこととして、身につまされるみたいな風にして見る人が多いんじゃないかなって気がするんですけど、違うかな。そう思うのがボクだけだったらヤですけど(笑)。

荒木 うん。もちろん自分自身だってああじゃないとは、言い切れないんだけどね。

−−−でもほとんどの人が、ああじゃないなんて言い切れないですよね。きっと。

荒木 そうですね。きっと。

−−−演劇よりも映画とか小説とかの方が好きだとのことでしたが、どのような映画や小説が好きなんですか?

荒木 ガルシア・マルケスとか。バルガス・リョサとか。

−−−あ、重厚なのが好きなんですか?

荒木 どちらかと言えばそうかな。

−−−フォークナーとかはどうですか?

荒木 はいはい。『アブサロム!アブサロム!』とか。

−−−じゃあ映画は、アンゲロプロスとか好きですか?

荒木 好きですねー。

−−−でも『爆笑王』は、映画でいうなら、アンゲロプロスというよりも、どっちかっていうとアキ・カウリスマキとかに似た匂いですよね。

荒木 ああ、カウリスマキもいいよねー。

−−−アンゲロプロスとカウリスマキじゃ全然違うけど。でも、『愛しのタチアナ』とかに近い感じがしたんですよね。ダメ人間万歳、みたいな感じが。

荒木 『愛しのタチアナ』いいよねー。


と、この辺から映画談義になってしまって、インタビューではなくなってしまったんですが、というわけで、カウリスマキのセンスなんかがわかる人は、今回の革命うさぎさん教室はきっと楽しめると思いますので、見に来てください。
ちなみに革命うさぎさん教室もスパーキング21に参加します。そちらも期待しつつ、とりあえずは『爆笑王』をお楽しみに。

■革命うさぎさん教室J 『爆笑王』

 2001年7月20日(金) 18:00〜
         21日(土) 14:00〜/18:00〜
         22日(日) 14:00〜/18:00〜

料金 前売1500円 当日1800円(日時指定・全席自由)

 作=荒木傑
 演出=宮川朋久
 出演=土居恵子、宮川朋久、西田早苗


 電話+FAX 045(881)6499
 Eメールkakuusa@hotmail.com 
 URLhttp://www.gardencity.or.jp/roujin/




ST通信の表紙へ